成功したのは誰のおかげ⑩

こんな会社は潰れます~その115

 

 

 

さて、彼のお店が何故失敗したのかというと、

 

まず、お客さんのことを誤解していた、ということです

 

 

 

 

 

彼は完全に、『お客さんは自分のお客さんだと思い込んでいて、多少無理なことを言ってもわかってくれる』とでも思っていたのではないでしょうか

 

 

 

 

 

 

確かに俺の味がわからない奴は来なくていい、というお店はあるにありますが、これは、

 

コアなお客さんしかいなくても、その味を求めるユーザーが、一定数存在してはじめて商売が成り立つ、というものなので、商品が変わっても支持されることを保証したものではないのです

 

 

 

 

 

ラーメンにプラス総菜があって魅力あるお店だったのに、メインのラーメンがなくなってしまっては、惣菜だけで来店する目的にはなりません

 

ラーメンの目的で来店するお客さんはやっぱりラーメンでしか満たされません

 

 

 

 

 

 

お客さんだって、惣菜専門店をする、といっても、まさか店構えを変え、ラーメンがなくなるなど思っていなかったと思います

 

 

 

 

あるいは、『あー、この店終わったな…』というお客さんも多数いたのではないでしょうか

 

 

 

サイレントマジョリティ、の存在を彼は理解していなかった、というか、傲慢になっていて、耳に届かなかったのでしょう

 

『お客さんのいいんじゃないの?』ということばはあてにできませんね

 

 

 

 

こうした日々の売上をうけ、『ラーメンはじめました』、と宣伝するもお客さんは戻りませんでした

 

 

 

以前の店よりも、多く雇ったアルバイトも仕事がありません

 

 

 

では

 

 

 

 

成功したのは誰のおかげ⑨

こんな会社は潰れます~その114

 

 

 

元社員のラーメン店は、総菜専門店に生まれ変わります

 

テイクアウト専門ですが、店内で好きな惣菜をチョイスして食べることができるというコンセプトのお店です

 

 

経営の才能があると思い込んでいる元社員は、銀行への収支計画の資料に1か月600万円の売上見込みで提出します

 

この辺はまた聞きなので推測にすぎませんが、

 

 

 

 

 

客単価を1600円に設定、1日4回転、客席数30席で1か月の売上を計算すると、

 

1600×30×4×30

=5,760,000

 

これでも600万円には満たないですが、

かなり強気の売上設定です

 

 

 

これが、正しいか間違っているかは、実際の売上をみて検証しなければなりません

 

 

 

 

 

2週間ほど、閉めて、内装・外装・厨房機器など、そして、新規スタッフの採用・教育にあてオープンしました

 

費用は500から600万円だったと聞いていますが、もう少しかかっているかもしれません

 

なんせ、ここで奥さんも椅子などこだわりを見せたため、予算オーバーしたようです

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、オープンです

 

 

 

 

 

 

 

…オープン初日の売上は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1万円に満たなかった、と推測しています

 

 

 

 

 

 

 

いろんな意味で驚きでしょう

 

報告はされていないので定かではありませんが、その1か月の売上は30万円あったかどうかではないかと思います

 

 

 

 

600万円の売上を見込むどころか、既存の売上の10分の1になったわけですから…

 

 

急いでラーメンを復活させるのですが、お客さんは戻りません

 

しばらくは、呆然とお客さんのいない店内を眺めていたようです

 

 

『どうして、お客さんは来ないんだろう?』

 

 

 

わかる術はないですね

 

 

 

では

成功したのは誰のおかげ⑧

こんな会社は潰れます~その113

 

 

 

 

この元社員は和食の料理人なので、ラーメンだけでは物足らず、ディナータイムを中心に総菜というか、副菜の提供もはじめます

 

 

ラーメン店でこういった料理を提供するところは少なく、たまたまでしょうが、ラーメン居酒屋風の店舗となり、ますます評判となりました

 

 

たまに、昼と夜のメニューをガラッと変えて、営業するお店がありますが、ラーメン店とうのは、昼でも夜でも需要がある上に、さらに、アルコールに合う料理を提供することはとても強みになります

 

 

郊外型とはいえ、お酒を飲まれるお客さんも多いわけで、〆の一杯も提供できるラーメン店は評判となるわけです

 

 

 

 

 

 

しかし、あくまでも主力のラーメンがあっての副菜がお客さんにうけているとうことを元社員は理解していたのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

ラーメンとその他の売上で客単価もあがり、順調に売上が推移するようになると、元社員にも余裕が生まれます

 

 

 

 

 

 

そうすると、こだわりというか、夢をかなえたいという思いが再燃してくるのでしょうか、

 

『やっぱり惣菜の店がやりたいなぁ』

 

 

 

 

 

しかも、副菜を提供していることはお客さんに好評で、固定客もできます

 

店主『惣菜を中心とした店をやりたいんだけどどうかな?』

 

客『いいんじゃないの?店長、腕あるし』

 

このお客さんの真意はどういったものであったかは不明ですが…

 

 

 

 

 

 

 

 

うちの会社の社員との関係を断ち、不本意でありながらやっているラーメン店はますます売上が上がり、どんどん勘違いしていきます

 

 

 

 

 

『やっぱ俺って商売の才能があるかも』

 

 

 

そして、とんでもない決断を下します

 

 

 

では

成功したのは誰のおかげ⑦

こんな会社は潰れます~その112

 

 

さて、少しづつ雲行きが怪しくなってきたと思いますが、まだまだ元社員の店は順調でした

 

 

うちのお店には、クラスターと呼んでいますが、ひとつの広い土地に複数の店舗を作り、相乗効果を期待したものがあります

 

全てを自社で行うわけではなく、一部はテナントとしてやってもらっていますが、そのうちのひとつをこの元社員が引き取ったというわけです

 

 

 

 

 

現社員もその集合店舗内にいますので、当然ながら交流があります

双方の店舗はアイドルタイム内にお互いの店に食事に行くので、割引もあるのですが、わずかながら売上が立つのでメリットがあります

 

 

 

 

 

 

ところが、元社員の奥さんは、毎日がしんどかったんでしょうか、

その交流を断ってしまいます

 

 

 

 

あるとき、うちの店長のもとに、怒鳴りこんできたのです

『アイドルタイムに長居されるから休めない、割引も負担だ』

 

 

これは、全くもって、八つ当たりに近いもので、割引も利用時間も制限すればいいだけなのです

 

そもそも、午後3時や4時に来るお客さんはまばらで、でも水道光熱費を考えれば、割引をしても元が取れるのです

 

 

 

 

店長は呆れて、その店を利用するのはやめようという話になります

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

でも…

 

 

そもそも売上があるのは、このクラスターのおかげであることをお忘れでないですか?

 

 

 

 

しかし、まわりへの感謝を忘れても、売上は順調なので、どんどん孤立していきます

 

 

 

 

 

 

では

 

成功したのは誰のおかげ⑥

こんな会社は潰れます~その111

 

 

 

前回、営業時間が長くて問題だと言っていますが、

長けりゃいいってもんじゃありません

 

 

 

営業時間というのは、立地や料理内容によって変わります

 

 

 

 

例えば失敗していた例として、

モーニングの専門店が夜の営業をして、お客さんが来ず、労働時間過多と売上減で店主が体調を崩しました

 

これは、モーニングの簡単なパンや揚げ物の安いイメージがつきすぎていて、ディナーとしては物足りない印象がぬぐい去れなかったことです

 

 

 

 

 

 

 

ラーメン屋さんというのは、ランチは昼食としてのラーメン、ディナーは個人もそうですが、ファミリーでもお腹を満たしますし、深夜帯は幹線道路沿いということもあり、トラックの運転手などが小腹を空かせて利用するというもので、

 

それぞれ目的客で成り立っています

 

 

つまり、3つの時間帯のどれかを除くと売上が大きく減少します

 

 

 

 

 

 

よく、客席回転率で考えますが、20席が1日3回転するとなると、客単価1500円では、

 

20×3×1500=90,000円

 

1日9万円で30日営業すると270万円です

 

 

前述したとおり、月300万円が目標とするこのお店にとっては、

どの時間帯も閉めることはできないことが分かります

 

 

アルバイトが常時安定していれば問題ありませんが、人が揃わなければ、オーナー自らがシフトに入らなくてはなりませんし、それでも人が足らなければ、旦那さんと奥さんが時間帯をずらしてシフトに入るという負担も出てきます

 

 

でも、生きていくためには仕方がないことですがね

 

 

 

自営業にはブラック企業なんて言葉はありません

 

 

 

では

 

 

 

成功したのは誰のおかげ⑤

こんな会社は潰れます~その110

 

 

 

 

 

さて、この元社員は、ラーメン店を営んでおりましたが、1つ問題があって、

売れる時間帯を自分で選べません

 

 

 

 

もちろん、ラーメン店だけでなく、立地条件によって売れる時間帯は違います

この店は、いわゆる郊外型で、幹線道路沿いに存在しています

 

 

 

 

 

お客さんは営業時間内にバラバラと来店しますが、

ランチ・ディナー・深夜帯と3つの時間帯でピークを迎えます

 

 

 

個人店ですので、自分で営業時間を決めればよいではないか、と思うかもしれませんが、成功しようと思うなら、

 

お客さんがいつラーメンを食べたいかということを考えなくてはいけません

 

 

ランチだけで自分の想定する売上を取っている超人気店であれば、1日100食限定で売り切りというのも理想的ですが…

 

 

 

 

 

 

 

しかし、普通の店は、どの時間帯でどれだけの売上が発生するかわからないので、電気代等で赤字にならなければ、なるべく長時間店を開けようとします

 

 

 

 

 

 

それに、店を引き継いだということは、そういった幅広いお客様も引き継いだということを理解しておかないとダメになってしまいます

 

 

これが今後ネックになってくるんですけどね…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

また、コンビニのオーナーさんも同じような問題を抱えていると思いますが、

営業時間が長いということは、夫婦間にも多少の影響が生じてきます

 

 

この元社員は、別れたとか、そんなことはないのですが、奥さんにも少し問題が出てきます

 

 

 

 

 

 

 

…はい、色々なことに含みを持たせつつ、次回に続きます

 

 

 

では

 

 

 

 

 

 

 

 

成功したのは誰のおかげ④

こんな会社は潰れます~その109

 

 

 

お店を開業して成功するには、偶然と必然、いろんな要素があります

 

うちの社員のなかで、数少ない成功だった例をあげましょう

だったというのは、途中までは成功していたということです

 

 

 

 

 

 

うちが運営している中の店にテナントがあったのですが、そこは県外からの出店でした

 

儲かっていないまでは言えない状況だったのですが、他県から単身赴任していた社員を帰らせたいと考えていました

 

 

 

 

 

そこで、出店、独立を考えていた料理人であるうちの社員が名乗りを上げたのです

 

そこはラーメン店でありました

 

 

 

 

 

 

 

料理人というのは、ごだわりがあります

 

この社員は和食の料理人で、本当は和食の小料理屋のような店を出したかったのですが、

 

 

厨房設備等がほとんど無償で手に入るということ、既存の売上が安定していたため、リスクが少ない、社員ということで格安の家賃を会社が提示していたなどなど、

 

この料理人はこだわりよりも、実を取って成功しました

 

 

 

 

 

 

実際、売上は300万円から400万円と安定していました

 

 

ピンとこない方もいらっしゃると思いますが、個人の飲食店でこれだけ売るというのは大変なことです

 

 

 

 

 

 

個人のオーナーの場合、夫婦で経営することが多いので、売上から経費を差し引いて30万円くらいが残らなくては存続しません

 

 

 

ただ、実際は100万円に満たない売上で苦しんでいるオーナー

はざらにいます

 

 

 

売上300万が保証されて、初期条件もいいので、約1割くらいは手元に残ったのではないでしょうか

 

 

つまり、月額30万円で、しかも、給与ではなく経費で使える部分が多いので、実際のサラリーマン時代よりも手持ちが多くなりました

 

 

 

と、ここまでは良かった話です

 

 

 

続きは次回

 

 

 

では